Humanoid Project NR-TWO

ジャンプに挑戦編


1.Freedomでジャンプに挑戦(2001.12.16)

2.Freedomでボールをキック(2002.01.08)

3.上体のパワーが重要(2002.01.12)

4.NR-two完成(2002.02.11)

5.ロケットの調査(2002.03.26)

6,ジャンプのシミュレーション(2002.04.14)

7.ロケットエンジン推進力テスト(2002.04.15)

8.ロケットエンジン搭載(2002.04.21)

9.打ち上げ失敗(2002.05.05)

10.2度目の打ち上げ(2002.05.18)

11,パワーアップ

12.NR-2のまとめ(2003.01.12)



1. Freedomでジャンプに挑戦


  ジャンプロボットを作るにあたって、まずFreedomでジャンプの関節パターンを作成してみました。飛べません。やはりモータのトルクを大幅に上げなくてはなりません。まずはジャンプの目標を50cmとおくことにします。これ以上のジャンプは他のエネルギーに頼ることにすべきでしょう。鉄腕アトムのようにロケットエンジン?でも搭載しなければならないのだろうか。

FreedomのJump

足先の部分も伸ばしているつもりなのに全くトルクがありません。このトルクが必要そうです。   


2.ボールをキック


  ジャンプ用駆動系の良いアイデアがなかなか出てこないのでボールをキックさせてみよう。ROBO-CUPにはでることができそうだ。
ROBO-ONE参加者でチームを組んででるのも面白いかも知れないですね。


ボールをキック


3.上体のパワーが重要?


  ジャンプするには上体のパワーが重要だとのコメントを頂きました。Freedomの上体にサーボを追加してやればもう少しジャンプできるかも知れません。駆動系の新しいアイデアができるまではFreedomの改良でもう少しテストしておくことにします。早速サーボの配置を検討しました。サーボをスマートに胴体に入れるのは大変です。


上体のサーボ配置の検討図

(2001.1.26)上体に2軸追加しました。ついでは頭も作りました。

上体の動きを追加することにより、数ミリジャンプ出来そうです。しかし、ジャンプ方向が安定しません。各関節へのサーボ負荷が異なることから、重心の移動方向が不安定になっているようです。


4.NR-two完成


上体の自由度が増えるといろいろな動作が行えます。まずは上体付きのジャンプです。

上体をつけてJump(2002.02.11)

次にジャブを出してみました。

ジャブを打つ。

空手チョップも出来ます。

チョップ。

 

もちろん歩くことも出来ます。

歩く。


5.ロケットの調査



 アメリカの友人がモデルロケットが趣味で、ロケットを飛ばして楽しんでいるという話を聞いたことがあります。この時,ロボットに取り付けてやれば鉄腕アトムのように空を飛べるはずだと考えていました。
 そろそろ跳び箱ジャンプに向けロケットの手配をしなくてはならない。と思いネット検索をしているとなんと日本でも販売していることを知りました。
日本モデルロケット協会です。
http://www.ja-r.net/

火薬量20gを超えるエンジンの購入・打ち上げには、第3級ライセンスの他に都道府県知事の火薬類譲受消費許可証が必要らしい。
http://www.ja-r.net/test.html

3級ライセンスを取るには4級ライセンスが必要。ラインスを取らなければならないのか、いやいや、火薬量20グラム以下のA、B、C型エンジンは、誰でも自由に購入して使用できるようです。
以下はだれにでも購入できるということか?

http://www.ja-r.net/shop/chokuhan/

どのくらいの推力が得られるのか想像もできないがまずは購入してみることにしました。


6.ジャンプのシミュレーション


ロケットがやってきました。ロケットには興味はないのですがとりあえず写真だけは撮っておきました。ESTES社のものです。

ロケットエンジンの構造がよく出来ています。最初高いスラストを出すための火薬が仕込まれています。

スラストカーブは以下のとおりです。今回入手したエンジンはC5です。最初に約20Nのスラストが得られます。NR-twoは2.4Kgですから2個のエンジンを付ければ飛び上がれるはずです。

早速簡易なシミュレーションをVisualNastran4Dを使ってやってみました。下図はシミュレーションに使用したスラストカーブです。

これにジャンプ動作による力を最大スラスト時を同期させるようにして与えました。

この結果によると1m近くジャンプすることが可能です。エンジンを4個つけると6mのジャンプも可能であることが分かりました。しかしこの場合はエンジンの約2秒の噴射が着地までに終わってしまうので、逆噴射しながらの着地が必要であることも分かりました。エンジンは一台2200円ですから、シミュレーションをしっかりやってから実際のジャンプに入ります。資金が厳しいのでH2ロケットのように失敗は出来ません。


7. ロケットエンジンの推進力テスト


ロケットエンジンの推進力のテストを多摩川ロケット打ち上げ基地において行いました。
写真はエンジンテストスタンドです。

これはエンジン点火スイッチです。本来スイッチは予備電流をながしておいて点火する回路となっていますが、ロボットにおいては無駄に電流を流したくないので電圧を上げ、瞬時に点火できるような回路に改造しました。

写真は点火後のヒューズです。焼ききれた部分が発熱し、火薬に点火します。

エンジン点火

初めてでもあり、緊張の一瞬でした。ビデオがぶれてしまいました。スイッチオンと同時に噴射です。
エンジンの推進力は1.1Kg程度が記録されています。しかしながらエンジンテストスタンドの応答性など不明な点もあり、判断は難しいと思われます。ただし後噴射の部分は規格どおりですので少し期待しています。


8.ロケットエンジン搭載


いよいよロケットエンジン搭載の準備です。ウイングとエンジンマウントを作りました。ロケットエンジンの試験結果から火炎の広がりを調査し、この結果より、ロケットエンジンの位置を決定しました。当初腕に付けることを検討していましたが、腕のサーボのトルクや応答性が心配です。今回はロケットに対する重心を移動することによって方向を変えることにトライして見たいと思います。

片側4機のロケットエンジンが搭載できるようにしました。下の写真は1機用のエンジンマウントです。2機用はまだ作っていませんが、これを前後につけることで4機まで搭載可能です。高く飛ぶためには多くのロケットエンジンが必要です。着地のタイミング速度を落とすために逆噴射が必要です。

何回か模擬実験の後打ち上げということになります。


9.打ち上げ失敗


連休に入ったのでいよいよロケットジャンプです。足のあたりにふらふらしている配線がロケットの火炎で燃えないように整理しました。

ロケット点火回路を作成。誤動作しないように回路にもプログラムにも工夫が必要です。アイアンイーグルでエアーバックを使ったときの経験が生きています。ロケットは数10msecの電流で点火してしまうのです。また点火のタイミングも非常に重要です。エンジンテストの結果と、ジャンプのビデオを重ね合わせながら点火のタイミングを設定しました。

いよいよ多摩川ロケット打ち上げ基地でロケットジャンプです。

打ち上げ失敗です。片側のロケットに点火しませんでした。片側だけでもロボットが浮いているような気がします。

原因は点火プラグの挿入ミスでした。また点火のタイミングが50msecばかり遅いこともわかりました。やはりビデオを眺めたり、検討をいくらやっても駄目です。実践が先生です。人為的なミスをどう対応するかも、このような一発勝負ロボットの場合大切です。いい勉強になりました。


10.2度目の打ち上げ


 久々の晴れの日曜日、多摩川ロケット打ち上げ基地でロケットジャンプです。両ロケットともに噴射、タイミングもバッチリでしたが、チョット前傾姿勢過ぎました。路面が不安定なのでジャンプ姿勢が安定しません。


11.パワーアップ


ロケットを購入し、台風の去るのを待っていました。いつの間にか多摩川ロケット打ち上げ基地は草の丈が伸びていました。

ロケットを4個にパワーアップしました。もう制御もなにもありません。カメラも追うことができません。

3m以上飛んで行きました。これでもまだNR2は生きています。胸と膝のプロテクターは非常に効果があります。今度は真っ直ぐ上にジャンプして見ることにします。


12.NR2のまとめ


1. 動歩行
身長の低いロボットで動歩行を実現することは、困難が多いが、加速度センサー、Gセンサー、ジャイロセンサーなどを効果的に使用により実現の見通しが立ちました。

2. ジャンプそのものがなかなか難しいことが分かった。加速度を測定しながらジャンプ方向に的確に飛ぶ必要があります。
正しい方向にジャンプするには飛び出しの方向が重要です。

3. モデルロケットによるジャンプ
ジャンプは可能であることが分かったが長時間の飛行は困難です。しかしジャンプの延長線上でしかないので、これを鉄腕アトムなどの空飛ぶロボットというにはちょっと無理があります。

そこで今後は、これらの経験をもとにジェットエンジン搭載ロボットに移行することとした。


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